shotanaga’s blog

人生は旅。

過酷な運命に翻弄されて…

 「ルーツ」 アレックス・ヘイリー  安岡章太郎 松田銑 共訳  1977年 社会思想社

 私がこの著書を知ることになったのは、世界遺産検定の勉強をしているときだった。アフリカ西部ガンビア世界文化遺産「クンタ・キンテ島と関連遺産群」は、奴隷貿易の拠点で、負の遺産である。そのページの記述には、「ルーツ」で知られる作家アレックス・ヘイリーの先祖もこの拠点からアメリカに連行されたとあった。この著書をいつか読んでみたいと思ってすぐに購入した。

 著書では、奴隷船の船内の劣悪な環境をリアルに描写していた。多くの黒人が奴隷として自由、希望、生命を多くの奪い尽くした負の歴史に憤りを感じながら読み続けた。また、一攫千金をかけた闘鶏の試合の場面では、まるでその会場に居るかのようにドキドキし、自由を獲得した瞬間に彼らが喜びはしゃいでいる描写では、私自身も喜びが芽生えた。最後まで感情が動かされながら飽きることなく読み通した。

 アメリカにおいて黒人に対する差別が根絶したかどうかと問われると、なかなか肯定的な答えを出すことはできない。当時解放されて自由を得て喜んでいた彼らや著者は、アメリカ社会の現状を見てどんなことを考えているのだろうか…

f:id:shotanaga:20160127191759j:image